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Voice 2025年9月号
今月号の読みどころ
2025年8月、私たちは「戦後80年」を迎えます。毎年、夏を迎えるたびに先の大戦の「総括」が行なわれ、周年に際しては時の政府が「談話」を出してきました。当時の日本人が何を求め、守るために戦争への道を歩んだのかは、今後も問われ続けるでしょう。他方で、歴史を振り返り「教訓」を得るだけでは、もはや許されないほどに日本を取り巻く環境は悪化しています。中国や北朝鮮の脅威は依然として眼前に存在し続けていますし、アメリカは覇権国の座をみずから降りようとしています。いま求められるのは、直近の種々の問題に対応しながらも、国家の在り方のグランドデザインを描くことのはずです。敗戦平和主義の克服を論じる中西輝政氏の論考をはじめ、いま日本が考えるべき大戦略を検討します。また、折木良一・元統合幕僚長と千々和泰明氏の対談「原爆投下は『必要悪』とは言えない」を巻頭に掲載。特集2は「『多様性』とは何か?」。「多様性」という言葉の背後にある複雑な現実に光を当てて、現代社会に潜む矛盾や葛藤などを浮き彫りにします。そのほか、藤原正彦氏の特別インタビュー「美辞麗句に踊らされた世界」も必読です。
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今月号の目次
特集1:戦後80年目の選択
「敗戦平和主義」の克服へ目覚める夏 |
中西輝政 |
42p |
「中国の大計」の虚実を見極めよ |
山口信治 |
56p |
核なき平和への階梯と日本の役割 |
先崎彰容 |
64p |
日本経済が根本解決すべき「死角」 |
河野 龍太郎 |
72p |
人口減少下で考える「都市の持続性」 |
森 知也 |
80p |
宇宙大国の夢、百年後の日本 |
常田佐久 |
88p |
20世紀の大戦と理不尽な死の現在 |
島薗 進 |
96p |
ともに「敗北」を生き続ける:アメリカ南部と日本 |
アレン・メンデンホール |
104p |
特集2:「多様性」とは何か?
「ハッピートーク」が不寛容を覆い隠す |
岩波 明 |
134p |
「女子枠」は多様な進路につながるか? |
宮阪元子 |
142p |
「性別らしさ」への期待と限界 |
高井 ゆと里 |
150p |
ふえると困る絶滅危惧種 |
豊田 有 |
158p |
巻頭対談
原爆投下は「必要悪」とは言えない |
折木良一&千々和 泰明 |
18p |
特別インタビュー
美辞麗句に踊らされた世界 |
藤原正彦 |
166p |
特別インタビュー
ビッグテックのクーデターを食い止めよ |
マリーチェ・シャーケ |
124p |
連載 ほか
経営の本質は「無刀流」にある? |
内田 樹&岩尾俊兵 |
112p |
誰が常任理事国の横暴を止めるのか? |
神余隆博 |
200p |
スマホ時代に求められる「思考という摩擦」 |
谷川嘉浩&佐伯ポインティ |
216p |
それでも、生まれてきたことを肯定する〈4〉 企てと遊びのあいだ |
近内悠太 |
184p |
【闘う首長】〈5〉 「対立しつつ調和する」宮城県政 |
村井嘉浩 |
192p |
【新時代ビジョン研究会】 「試練の海」から「希望の海」に――福島県浜通り |
渡部育夫 |
228p |
トランプを支える「聖書の政治学」 |
加藤喜之 |
208p |
著者に聞く 「アメリカ新右翼」の混沌と収斂 |
井上弘貴 |
236p |
ニッポン新潮流〈現代社会〉 放置されてきた「移民大国」の現実 |
西田亮介 |
30p |
ニッポン新潮流〈教育企業〉 答え合わせ時代のレコメン機能と診断ブーム |
勅使川原 真衣 |
32p |
ニッポン新潮流〈都市文化〉 地方創生か、分権か |
藤村龍至 |
34p |
ニッポン新潮流〈現代思想〉 競争を爽やかに肯定する九〇年代生まれ |
谷川嘉浩 |
36p |
地域から日本を動かす〈41〉 地方大学だからやれる発信を |
結城豊弘 |
38p |
歴史家の書棚〈62〉 塩出浩之『琉球処分』 |
奈良岡 聰智 |
240p |
巻頭言〈18〉 イスラエルはどこに向かうのか |
冨田浩司 |
15p |
文明之虚説〈93〉 甲申事変と脱亜論 |
渡辺利夫 |
246p |
戦跡が語る「先の大戦」〈8〉 テニアン島 |
写真・文/安島 太佳由 |
1p |
里山―未来へつなげたい日本の風景〈21〉 黄金色の棚田 |
写真・文/今森光彦 |
8p |
令和の撫子〈76〉 桑井亜乃 |
撮影/吉田和本 |
11p |
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
242p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
243p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
244p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。