夫の宿題
発売日
2000年12月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57490-5

夫の宿題

著者 遠藤順子著 《故遠藤周作氏夫人》
主な著作 再会』(PHP研究所)
税込価格 586円(本体価格533円)
内容 夫・遠藤周作が晩年に到達した死生観、臨終に際し妻に残したメッセージとは。出会いから壮絶な闘病の日々までを綴った感動の人間讃歌。



 故遠藤周作氏はある本の中で、「物書きの遺族は主人の生前の思い出などを語ったりせずに、つつましく暮らすべきだ」と書いている。しかるに夫人はあえて本書を上梓した。それは即ち、本書のテーマ、夫からの宿題があったからゆえのことである。

 その宿題とは、まず、遠藤周作氏が臨終の間際に、自らが帰依し信仰したキリスト教の最大のテーマ「復活」を強烈にアピールしたことにある。「死は終わりではない、またきっと逢える」という、夫から託されたメッセージを広く伝え、愛する人の死に悲しんでいる人々を、少しでも癒していくことに、余生を費やすことである。二つ目は、「心あたたかな医療」の普及である。生前、夫が唱えた末期医療の改善、つまり患者の心身の癒しを第一にした医療制度を提唱し、実現していくことである。本書はこの二つの目的のために執筆された。

 四十三年間の夫とのさまざまな思い出とともに、美しい人間愛が綴られる感動の書。