月刊「PHP」2025年10月号 裏表紙の言葉

必要と思って買ったものがまるで役に立たず、無駄遣いをした。大雨で電車が止まって、駅で長時間、無為な時間を過ごしてしまった。

人生を送っていれば、誰でもそんな経験をしたことがあるはずだ。棚からぼた餅のような得をした記憶よりも、思い当たるのは、こうした情けない無駄な振舞いや、期待外れの無為な時間への苛立ちばかり。

今さら愚痴を言っても始まらない。むしろ、実は無駄や無為は考え一つで180度変わり、いずれも有益なことに変化させられるものだと信じてみてはどうだろう。いや、自分を慰め、救うためにもそう考えたほうがよい。

すべてを受け入れ、解釈を変える。たとえば、お金の無駄の代わりに経験を買えた。無為な時間を過ごしたとしても、休養になった、人間観察ができた等、代わりに得たものがなかったかをありったけ想像してみる。

人は真剣に内省すれば、いくらでも学びを手にすることができる。無駄と無為こそ想定外の一時所得と思い直し、見過ごしていた意味、意義、価値を考えてみよう。

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