月刊「PHP」2026年2月号 裏表紙の言葉

泣きたくなる日がある。理由すらないのに。心の奥からせき止めていた何かが流れ出し、息すらしにくい。そんなときはがんばることはない。泣けばよいのだ。

大人だから強くありたい、人前だから恥をかくまい。そんなことで私たちは、つい心にふたをしてしまう。

けれども人は機械ではない。悲しいときは悲しいし、つらいときはつらい。涙を流せるのは人間の証拠。泣くことは決して弱さではなく、むしろ、無理するな、と自分を労るやさしさの表れかもしれない。

ある夜、ふと昔の写真を見て涙がこぼれた。忘れていた情景に人々のやさしさを思い出し、過去の痛みも忘れて気持ちが流れ出た。涙のあと、心が軽くなっていた。

涙は心のほこりを洗い流してくれる。泣いたあとは不思議に景色が明るく見える。誰かの前で泣こうとも恥じることはない。ひとりで泣けるなら、それもまた、自分を肯定している証ではないか。

時には泣くことを自分に許してあげよう。結果、人にもやさしくなれる。明日また、ちゃんと笑えるためにも。

月刊「PHP」最新号はこちら

定期購読はこちら(送料無料)