PHP研究所主催 2025年度文部科学省後援
第9回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作

相澤美羽
岡山県岡山学芸館高等学校 2年(受賞当時)

私は朝が大嫌いだった。中学のころ、毎日学校に行くのが憂鬱で、どうしても朝起きられず、遅刻したり休んだりを繰り返す日々だった。

そんなある夏の夜、なんとなく眠れずにだらだらとしていて、気がつくと朝の4時になっていた。今から寝るのもなあと思った私は、なんとなく家を出て自転車を走らせた。もともと自転車でぶらぶらするのは好きだったが、こんな早朝に走るのは人生で初めてで、ワクワクした。

まだ辺りは暗くて涼しくて、人もほとんどいなかった。20分ほど走り、小学生のころよく遊んでいた港の公園に着いた。時刻は5時。ふと海のほうを眺めると、少し前まで紫色だった東の空が、だんだんと橙色に染まってきているのがわかった。

そのとき、私は人生で初めて、日の出を見たのだ。言葉にできない感情があふれた。きらきらと光る水面が、神々しい。胸がじわじわと温まっていくような、とても不思議な気持ちに包まれた。とにかく、とにかく感動した。しばらく目が離せなかった。瞬きを忘れるほどに見入っていた。

この出来事は、私の朝との向き合い方を少しずつ変えた。すぐに毎朝早起きができるようになったわけではないが、少なくとも、もう、朝が嫌いではなくなった。

今、私は高校生になり、毎日楽しく元気に学校へ通っている。不登校の中学時代も、今では笑い話にできるくらいだ。あの日の思いがけない出合いが、私の人生の転機となった。特別で、一生忘れられない思い出になった。

ささいな出来事は、毎日のように私に訪れる。それは、たしかに私を変えてくれる。一方で、日の出は毎朝必ずやってくる。ずっとずっと変わらないもの。その不変の真理は、私の心の支えになっている。


参考:特別な経験がなくても大丈夫! PHP作文甲子園に学ぶ体験談の書き方

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