月刊誌『PHP』2026年7月号 裏表紙の言葉

思えば人の一生は、幾多の風に吹かれて歩むものではないだろうか。雲にも似た両親の愛に守られていたころから、追い風に向かい風、いつしかさまざまな風にさらされてきた。

風は感じこそすれ、じかに見えないのも不思議なものだ。巻き上がる砂やたなびく旗、時には顔を打つ雨によって、力のほどを知るばかりである。

人が集えば、それぞれの間にも風はできるし、衛星写真の雲の流れは、風が地球の息吹そのもので壮大な存在であることを教えてくれる。

そう考えれば、人の歩みとは、風を解し、いかに向き合うかにかかってくるのではないだろうか。自然現象、たとえば近ごろの台風は、人の営みによって荒々しさを増している。その変化には、もはや人為現象としての対処を考えなければならないのかもしれない。

個々の人生にも、あまねく風は吹く。大切なのは、その一つひとつを受け止め、自然の理にかなう形で応じていくことであろう。情理を尽くし、どんな風にも静かに向き合える自分でありたいものである。

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