PHP研究所主催 2025年度文部科学省後援
第9回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作

田村真之助
鳥取県鳥取市立桜ヶ丘中学校3年(受賞当時)

中学3年生の夏休み。受験を意識し始めた僕は、焦りと不安で心がいっぱいだった。家では集中できず、塾でもどこか落ち着かない。そんなある日、母に「図書館で勉強してみたら?」とすすめられた。正直、最初は気乗りしなかった。「図書館なんて本を借りるだけの場所だろう」と思っていた僕にとって、そこは自分とは無縁の場所だったのだ。

しかし、家にいても時間をむだにしてしまうだけだと思い、しぶしぶ図書館に足を運んだ。中に入ると、そこには静かで落ち着いた空気が流れていた。読書に没頭する人、静かにノートを開く高校生、調べものをする大人たち。誰もが自分の時間を大切に使っているように見えた。

僕は空いている席に座り、教科書を開いた。最初は緊張して周りが気になったが、

しだいに集中できるようになっていった。周囲の静けさと、何かに真剣に向き合う人たちの姿が、僕の心に火をつけたのかもしれない。

勉強に疲れると、本棚をぶらぶらと見て歩いた。そこには、今まで手に取ったことのない分野の本がずらりと並んでいた。ある日、偶然手にしたのは「人間の体」について書かれた一冊だった。読み進めるうちに、「人間ってこんなにすごいんだ」と、驚きと感動がこみあげてきた。知ることのおもしろさに目覚めた瞬間だった。

それからというもの、僕はほぼ毎日のように図書館に通うようになった。勉強をするだけでなく、歴史や科学の本にも触れ、少しずつ「学ぶこと」の意味が変わっていった。単に点数を取るための勉強から、おもしろいものを見つけることへと、気持ちが変わっていったのだ。

図書館との出合いは、僕の中にあった「学ぶことへの壁」を取り払ってくれた。静かで、自由で、そして限りない知識がつまったこの場所は、僕にとってかけがえのない居場所になった。図書館の扉を開けたことで、僕の未来も楽しいほうへ少し開かれたように思う。


参考:特別な経験がなくても大丈夫! PHP作文甲子園に学ぶ体験談の書き方

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