PHP研究所主催 2025年度文部科学省後援
第9回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作

岩内悠翔
京都府聖ヨゼフ学園日星高等学校3年(受賞当時)

この夏、志望校のオープンキャンパスに参加した。薬学部を目指している僕は、少し緊張しながら受付をすませ、体験授業や施設見学に参加した。そこで同じ班になった一人の高校生との出会いが、今でも心に残っている。

最初は言葉を交わすこともなく、体験授業を淡々とこなしていた。ところが昼休み、学食で昼食を取ろうとしていたとき、その子が「一緒に食べてもいい?」と声をかけてきた。僕が「もちろん」と答えると、そこから会話が始まった。

聞くと、その子はこのあたりが地元で、大学のすぐ近くに住んでいるという。一方、僕は京都から飛行機で参加していたので、その土地の話題はまったくわからなかった。だが、彼は地元のおすすめの食べ物やお店のことを楽しそうに話してくれた。

僕はそれを聞きながら、自分の知らない景色が頭の中に少しずつ描かれていくような感覚になり、緊張がしだいにほぐれていった。同じ薬学部志望という共通点もあり、短い時間ながらも自然に会話がはずんだ。将来の夢を語るときの彼の真剣な表情が印象的で、僕ももっとがんばろうと思えた。

結局、連絡先を交換することもなく、名前さえ知らないまま別れることになった。それでも、同じ夢に向かって努力している同世代の存在を知ったことは、大きな励みになった。志望校合格を目指す日々の中で、ふとあの日の会話を思い出すと、不思議と背中を押される。

人生には多くの出会いがあるが、そのすべてが長く続くわけではない。名前も知らない、短い時間の出会いであっても、心に深く残ることがあるのだと実感した。オープンキャンパスでの彼との出会いは、僕にとって忘れられない大切な思い出となった。この出会いが彼にとっても記憶に残るものだとうれしい。いつか再会できることを願っている。


参考:特別な経験がなくても大丈夫! PHP作文甲子園に学ぶ体験談の書き方

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