こころ相談室

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子供を「愛してあげる」ってどういうこと?
 子供(7歳女、5歳女)の事で相談します。私は今、不安神経症で通院していて、薬のお陰で普通に生活しています。でも、子供に対してイライラして仕方がありません。主治医に相談したところ、「今は子供の心の成長時期で一番大事な時期なので、しっかり愛してあげなさい」とアドバイスいただきました。
 しかし、私は子供の頃、家が商売をしていて親にかまってもらった記憶がまるでないのです。母が私と話をしていると舅・姑が「子供の世話をしても一銭の儲けにならない!」と怒鳴りました。父も母も舅・姑が怖かったらしく、結局、年老いた母方の祖母に預けられ、身の回りの世話が出来る頃(小学1年)に実家に帰りました。そんな生活が延々と続き、いつのまにか両親をかわいそうに思うようになり、生きていく為には仕方ないのかと諦めました。
 今、自分が親になって、子供にどう接していいのかわからないのです。生活していく上での最低限のしつけはしているつもりです。でも、ちょっとした甘えが、わがままなのか、それくらい受け入れてあげるべきなのか、毎日頭の中で格闘して混乱してどうにかなりそうなのです。私自身が、まだ親(大人)になりきれていなくて、今の恵まれている子供が妬ましいのかもしれません。
 主治医は「愛してあげなさい」といいます。「愛してあげる」ってどういうことですか?歪んだ大人にならない為にも、今しっかり受け止めて愛してあげたいのですが…。教えてください。子供を愛する、愛してあげる、受け止める…具体的に私はどうしたら良いのでしょう?

(35歳、主婦)

回 答
 「愛してあげなさい」と言われても…。私もあなたと同じ戸惑いを覚えますね。私もどういうことかわかりません。たぶん正しいアドバイスなのでしょうが、正しいアドバイスが正しいとは限らないといういい例のような気がします。
 私が思うことは、あなた自身が「親(大人)になりきれていない」というのはたぶん違っていて、むしろあなたは普通以上に大人だということです。むしろいつも大人として子どもに接している分、ちょっとぎくしゃくしているのかもしれません。
 あなた自身が親にかまってもらえなかったということですが、「いつのまにか、両親がかわいそうに思うようになり、生きていくためには仕方ないのかと諦めました」というあなたは早くから大人になっていたのでしょう。「今の恵まれている子供が羨ましいのかもしれません」と自己分析する(できる)あなたの言からもまたそれを感じます。
 子供とどう接していいのかわからないというのは、ほとんどの親に共通する思いでしょう。「ちょっとした甘えが、わがままなのか、それくらい受け入れてあげるべきなのか」、そういうことで悩むのも当然といえば当然でしょう。ひょっとしたら、自分と違って、世の中の親はそんなことは簡単にわかっているものだと思っていませんか?
 たとえば、私はカウンセリングで毎日毎回「いったい、どうしたらいいんだろう?」と迷宮に入っています。言っちゃなんですけど、この道20年以上、この業界で誰よりも忙しく仕事をしてきたと自負する私ですが、そんな私でも、今だって悪戦苦闘の日々なんです。でもよくわからないのが当たり前ですよね、こういうことは。
 早くから大人になっているあなたは、多くのことは自分に責任があると思い、いつもしっかりしていなければならず、いい加減なところがあってはいけないというような意識がとても強いような気がします。
 それはこれまでのあなたを支えてきたことだし、とても良いことなのですが、多少手を抜いた子育てをしたからといって、だから「歪んだ大人」になるものでもありません。昔なんかは、程度はあるものの、子どもにかまってる暇がなかった親が大半でした。高度成長期、「貧乏人は麦を食え」と号令された世代の親に育てられた私なんかもいい例ですね。
 それに「最低限のしつけはしてるつもりです」というのですから、特に昨今の世相にあっては非常にいい子育てをしていると思いますね。「イライラする」とは言っても、むやみ叩いたり、焼け火箸を押し当てているわけでもないでしょう。母親たるもの、子どもに対して「イライラしてはいけない」という考えがあるのかもしれませんが、子どもなんてものは、言うことはきかないし、自己中心的だし、生意気だし、分別はないし、そんな野生動物みたいなものと毎日付き合うんですから、イライラしないほうがおかしいんですよ。と勝手なことを申しましたが、こんなことを考えてみていただけないでしょうか。
 方策としていいのは、ご主人、友人などに相談することです。たぶん、そういうことを相談したり、愚痴を言ったりするのが苦手なのかもしれませんが、誰か他の人にもあなたの苦労やストレスを背負ってもらわないと大変ですよね。
 「愛する」「受け止める」というような立派な言葉にこだわるのはやめにしませんか。疲れるだけですよ。そんなことより、子どもと一緒になって遊んでいれば、それがお子さんが一番喜ぶことだと思いますよ。そう、あなたもちょっと子どもになりましょう。そして、遊び疲れて、お子さんと一緒に昼寝してればいいんです。もちろん、家事なんて後回し。

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