月刊「PHP」2018年11月号 裏表紙の言葉

「この仕事は向いていない」「自分の求めている仕事とはちょっと違う」。そんな決断を下して職を替える人も多いという。

誰もがそれぞれの適性を発揮できる仕事を得られれば、これほど喜ばしいことはない。けれども、最初から天命の職と思える仕事に就くのは希有のことと言えよう。

とはいえ職を転々としても、適性がさらに活きるとは限らず、ミスマッチの連続という状況に陥ることもある。

では、自分の適性を見極めるにはどうすればよいのか。一つ確かな方法は、余計なことは考えず、今、目の前の仕事に、精一杯の努力を尽くすことである。その仕事が適性に合うものかどうかは分からない。それでも本気で取り組むうちに予期していなかった面白みが生まれ、天職との出合いになる可能性もある。何より、全力を傾けた自分自身に満足できることは間違いない。

常に迷いを抱いて仕事を品定めするよりも、与えられた仕事に傾注し、きょうの充実感を味わう。それがより確かな人生の歩みにつながるのではなかろうか。