月刊「PHP」2021年10月号 裏表紙の言葉

ほんとうのことを言ってしまおう。よく"長い人生、生きていれば機会は必ず巡ってくる"という。
そんなことはないのである。たしかに必死に目標に邁進し、その実現に日日精進を重ねた人には、いつか報われる日が訪れるかもしれない。
しかしながら、願っているばかりで努力を怠る、あるいは、些細な理由で努力の先延ばしをくり返している人には、そんな機会は滅多に来ない。
小成に甘んじることもあろう。強欲者のそしりを免れないことへの遠慮も考えられよう。けれども寂しいではないか。せっかくの人生、高い志を掲げてこそ盛大になるのである。
今の世の中、学ぶ人が多いのは喜ばしい。ただし、学びはあくまで手段、その先の手に入れたい成果を口にしない人があまりにも多すぎる。
言うのは簡単、実現するのは至難の業。それゆえ慎ましいのも理解できる。でも、だからこそ言いたいのだ。千載一遇の機会とは、文字通り千年かけて一度あるかどうか。ひとえに思いの強さにかかっているということを。