月刊「PHP」2023年4月号 裏表紙の言葉

子どもたちが砂場で夢中になってつくる泥だんご。最初は無邪気な砂いじりが、気持ちを込めて丸めていくと、不思議なことに、少しの工夫でより丸くなっていく。
そして、水分と砂を加え、表面を磨いていけば、だんごはほぼ球体となり、かつ光沢を帯びるまでになる。
初めから上手にできるわけではない。割れることもしばしばだから、壊れるはかなさ、失敗するくやしさも自然に学ぶ。それでも自分だけの宝をつくるのに、子どもたちはいっそう夢中になっていく。
泥と砂さえあればわくわくできる子どもの集中力のなんとすばらしいことか。いや、かつては誰もがそうだったのだ。
今、心配なのは大人のほう。目標がたくさんありすぎて、わくわくできない人が多いとか。責任から逃れたい、失敗したくない気持ちもよくわかる。けれども、そんな今こそ泥だんごづくりの極意を思い出すべきではないだろうか。
大事なのは無心になること。泥だんごをつくるように、がんばれる自分を信じながら、無邪気に挑戦を続けていきたいものである。

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