月刊「PHP」2023年6月号 裏表紙の言葉

何かを成し遂げるために計画を立てる。翌日から力んで励んでみるが、昨日も今日も届かない。不足分を明日にのせて、さらにがんばっても、やっぱり達成には至らない。
気がつけば、計画不履行。思えば前にも同じことがあったような。不甲斐ない自分に腹が立ったり、自分は期待はずれの存在だと憂鬱になったりする。最も期待したい自分にも裏切られるのだから、他人への期待が落胆に変わってしまった過去はすでに数えきれないほどだろう。
聞けば世の中の人間関係の難題の多くは、たがいが勝手に抱く期待が失望に変わることに端を発しているという。こんな思いをしないためには、期待しないことが最善策だというのもうなずける。
しかし、本当にそれでいいものか? 人間とは欠けているところに人間味があり、欠落した部分をたがいに補い合うところに、共同生活の味わいがあるのではないか。
期待はずれは今後も経験するにちがいない。けれどもめげずに受け止めよう。いつか真剣に応えてくれる努力をたがいに期待しながら。

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