PHP研究所主催 2022年度文部科学省後援
第6回PHP作文甲子園 優秀賞受賞作

岸田とわ
広島県安田女子高等学校2年(受賞当時)

10年前の自分へ。10年後の自分は、君に伝えたいことがたくさんあります。

まず何より最初に、君はもう知っていると思うけど、お姉ちゃんになります。君の好きな本の中のお姉ちゃんほどいいお姉ちゃんにはなれないけど、それなりにちゃんとお姉ちゃんやれるから安心してください。だからそんなに怖がらなくていいと思う。

次に、君は英語が苦手になります。君は英語が好きで、どちらかというと漢字が苦手だと思うけど、英語が苦手になるので、今のうちから勉強しといてくれるとありがたいです。でもたぶん、君は私なので無理でしょうね。

そして、君のあこがれだった高校生になれたことも伝えておきます。意外と高校生って君が思っているよりも子供で、君が想像していたような姿にはなれませんでした。

結局、高校生になったら飲めると思っていたコーヒーは、飲めるけどジュースのほうが相変わらずおいしいし、治ると思っていた、緊張すると頭が痛くなるやつは、むしろひどくなるし、片づけは苦手なままだし、変な癖は直せてないです。でも、ちょっとだけあこがれが叶った部分もあります。友達と5時過ぎても遊ぶとか、本屋さんに行って好きな本を何冊も買うとか、小学1年生の君には夢のようなことができるようになりました。羨ましいでしょう。

逆に君があたりまえにできることが、できなくなったりもしました。将来の夢が純粋に書けなくなったり、素直に大人にあこがれられなくなったり、高校生は大変です。たぶん、大人はもっと大変だと思います。

本当はまだまだ伝えたいことは多いですが、最後に一つだけ一番伝えたいことを書いて終わりにします。君は口が達者だと言われるけど、本当にやばい大変なときは口より先に行動してしまうタイプです。なんなら口に出すのは苦手です。行動する前に少し考えてください。大丈夫、口に出しても、今、私は生きてるから。

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