月刊「PHP」2024年1月号 裏表紙の言葉

試験が始まり、問題用紙が配られる。「始め」の声に用紙をめくって問題を見る。緊張が走る。問題をゆっくり眺めながら、学んだ知識を整理して解答に取りかかる。こうして学生時代、どれだけの問いに答えてきたことだろう。
大人になると、問題用紙は配られない。その代わりに、仕事の進捗一つひとつが大問題、日々対応にかかり切りになっていく。こんな具合で、私たちは与えられた問いに答えるばかりの人生を歩んできた感がある。
それが悪いわけではないけれど、そんな人生にどっぷりと浸かっている今だからこそ、みずから問う、みずからへも問う姿勢が必要ではないだろうか。
問えばたくさんの意義が現れる。知るために問うのはもちろんで、それが理解を深め、考えを究める。
またみずからを解放するためにも、問うことは重要だ。やりたいことを忘れずに、やるべきことばかりに左右されないように。本当の自分とはいったい何者なのだろう?
人生の主役は自分。そうあるために、答えると同時に問うことを怠ってはならない。

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