日本の軍歌は芸術作品である
発売日
2008年07月24日
判 型
新書判並製
ISBN
978-4-569-70253-7

日本の軍歌は芸術作品である

著者 林秀彦著 《脚本家、作家》
主な著作 『「みだら」の構造』(草思社)
税込価格 1,045円(本体価格950円)
内容 日本人は「量の文明」ではなく、「質の文明」を追求してきた民族だ――。「軍歌=ウヨク」という固定観念を打破する斬新な日本文化論。



 そもそも日本の軍歌と呼ばれる歌の数々は、あの厳しい大東亜戦争末期に至るまで、後年の人が誤解するような暗いイメージはなかった――と著者は言う。むろん、戦意を昂揚させる意図が露骨な歌詞もあったが、それらの言葉ですら美しい単語が厳選され、日本人でなくては成し得ない美意識が貫かれていた。

 「『海ゆかば』を知らない若者の多いことほど無念なことはない」と著者は嘆く。この大伴家持の歌には「戦う」という言葉も「勝つ」という言葉もない。全体としての意味は、この身を犠牲にしても何の迷いも後悔もないという、まるで恋をしている若者のように心身を捧げんがための歌だ。

 日本の軍歌を通して見えてくるのは、日本人が「量の文明」ではなく、「質の文明」を希求した民族だということである。「軍歌=ウヨク」という固定観念を覆す、斬新な日本文化論。※2002年3月にPHP研究所から出版された『海ゆかば 山ゆかば』を改訂・改題して復刊。