何が終わり、何が始まっているのか
発売日
1998年07月13日
判 型
小B6判上製
ISBN
978-4-569-60221-9

何が終わり、何が始まっているのか

著者 山田太一
福田和也
税込価格 1,257円(本体価格1,143円)
内容 若者の気力喪失、家庭崩壊、さまざまな問題が噴出しはじめた日本人はどう生きればいいのか。卓越した感性と知性が問題の核心を語る。



 家族の混乱、若者の無規範、権威の崩壊。豊かさの中に新しい問題を抱える日本人は、これからどう生きていけばいいのか。そして残された可能性とは。長く問題作を発表し続けてきた脚本家の山田太一氏と、気鋭の文芸評論家の福田和也氏が対話を試みる。たとえば、家族は本当に崩壊したのか。歴史的に見て、日本人にはもともと崩壊するような家族像などはなく、それは西欧から輸入されたイメージとの対比に過ぎないのでないか。家族とは、もっと個別的なものであり、個別性を追求することによって初めて普遍性を得ることができる。あるいは日本人の自我とは何か。欧米で受け入れられた黒澤明と60年代を境として評価を失った木下恵介の対比を通し、近代主義に生理的についていけない日本人の弱い自我の、現代における悲鳴を感じ取る。「断念美学」にこそ新たな日本人の可能性があるのではないか。卓越した感性と知性が語る、生き方探しのヒントの数々。