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漱石の「不愉快」

漱石の「不愉快」
英文学研究と文明開化

小林章夫著 《上智大学教授》

近代化の期待を一身に担って留学した英文学者・漱石の「不愉快」なロンドン体験から、明治日本が抱えていたジレンマの本質に迫る。

税込価格
723円(本体価格657円)
発売日
1998年06月22日
判型
新書判
ISBN
978-4-569-60151-9
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Content

内容



 1900年9月、第五高等教育学校教授であった夏目漱石は、2年間のイギリス留学へと旅立った。しかしこの留学生活は、後に「ロンドンに住み暮らしたる2年はもっとも不愉快の2年なり」と語られることになる。栄ある第1回官費留学生・漱石の「不愉快」の原因とは一体何だったのか。本書では、漱石自らが失敗作と認める『文学論』と、優れた18世紀英文学論である『文学評論』という、2冊の著作が執筆された背景を探りながら、これらの問いを解き明かしていく。文明開化のシンボルたる「英語」と、実学の対極に位置する「文学」の狭間で揺れる「英文学」という学問の意味。文明開化の担い手としての役割を期待されながら、イギリスで、近代化が人間の精神を衰弱させていく過程を目の当たりにするというジレンマ。漱石のみならず、明治の知識人が不可避に抱え込まざるを得なかった苦悩、そして近代化の残酷な宿命を浮き彫りにした、出色の漱石論である。

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