なぜ私たちは存在するのか
ウイルスがつなぐ生物の世界
覚悟のウイルス学者が、異種の生物の間での遺伝子の移動やウイルスがもたらすDNAの変化に着目して新たな生物観を示す。
- 税込価格
- 1,100円(本体価格1,000円)
- 発売日
- 2023年03月24日
- 判型
- 新書判
- ISBN
- 978-4-569-85418-2

Content
ウイルス学者は、ウイルスを作り出すことができます。
感染細胞から、ウイルスのタンパク質の設計図が書いてあるDNAをとってきて、それをプラスミドという大腸菌内の環状DNAに入れて増殖させるのです。あくまで物質であるDNA(デオキシリボ核酸)を、「生命の場」である細胞に入れてやると、ウイルスとなる。まるで生物と物質の境界を行き来するような実験です。ウイルスは、私たちがもっている生命観からはみ出てしまうような存在なのですが、本当に例外的なものなのでしょうか?
さらにウイルスは、ある動物のDNAを、別種の動物のDNAに運ぶことがあります。レトロウイルスはまさにいま現在進行形で、コアラのゲノムに入り込んで、そのDNAを変えようとしています。一方、人間の腸内には約1000種、100兆個もの細菌が住んでいます。このような例を考えると、生物の世界は「種」あるいは「個体」が独立した世界なのではなく、全体で「生命の場」というものをつくりあげ、私たちは関係性の中で生きているといえるのではないでしょうか。
本書は、「生命には場が必要であり、実は全体で一つ」「ウイルスが生命をつないでいて、生命の場を提供している」「個という概念をもつことは生物学的に正しいのか」といったテーマについて、ウイルス学者の視点から考えます。
【目次より】
●1年以上、生死について考えて苦しんだ
●ウイルスを作る
●ウイルスを排除することはできるか?
●細胞間情報伝達粒子がウイルスになった?――エクソソームがウイルスの起源なのか……
●さまよえる遺伝子
●種はどのようにして分かれていくのか
●現代のコアラはタイムマシーンか――種の壁を越えていくウイルスの現場
●個とは何か?
●生命が生まれたのは必然か偶然か
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