名人論
発売日
2026年08月07日
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判 型
新書判
ISBN
978-4-569-86159-3

名人論
稀代の天才たちはいかに戦ったか

著者 谷川 浩司著 《棋士》
主な著作 『中学生棋士』(角川新書)
税込価格 1,397円(本体価格1,270円)
内容 家元制度から実力制名人へ、升田幸三、大山康晴、羽生善治、藤井聡太……。十七世名人が名人位の重みと、将棋界の激闘の歴史を描く。



 将棋界において「名人」は、単なるタイトルではない。その歴史は1612年、徳川家康が初代大橋宗桂に俸禄を与えたことに始まり、四百年以上にわたって受け継がれてきた将棋界最高の称号である。現代では竜王と並ぶ最高位とされるが、その重みは賞金や序列では測れない。名人とは何か。その称号を背負う者に求められるものとは何か──。

 本書は十七世名人・谷川浩司が、自らの名人戦の経験を軸に、江戸時代から現代まで続く「名人」の歴史と本質をたどる一冊である。将棋はどこから日本へ伝わり、なぜ現在のような独自の競技へと発展したのか。家元制度の誕生、将軍家の御城将棋、命を削るように名人を争った若き天才・大橋宗銀と伊藤印達の五十七番勝負、詰将棋を芸術の域へ押し上げた伊藤宗看・看寿の偉業──。歴史の知られざるドラマをひもときながら、「名人」という言葉が持つ意味を掘り下げていく。

 さらに、大山康晴十五世名人、羽生善治十九世名人、そして藤井聡太名人へと受け継がれる天才たちの系譜を、同じ名人経験者だからこそ見える視点で読み解く。勝負師たちは何を考え、どのような資質によって頂点へ到達したのか。思考力、直感、気力、そして時代への適応力──名人たちに共通する条件が浮かび上がる。

 終盤では、AIが人間を超えた現代における将棋の価値にも踏み込む。最善手を示すAIが存在する時代に、人間が将棋を指し続ける意味とは何か。名人という存在はこれからどのような価値を持ち続けるのか。将棋界が直面する根源的な問いにも真正面から向き合う。

 将棋ファンはもちろん、日本文化や歴史、そして「一流とは何か」を考えたいすべての人へ。四百年にわたる名人の歴史を通して、勝負の本質と人間の知性を描き出す、かつてない「名人論」である。