「見方・考え方」イノベーションで社会を変える。
創設者・松下幸之助の願いを胸に挑戦を続ける社員の想い、「繁栄によって平和と幸福を」を具現化する活動ストーリーを紹介中。
今回は、今年で10回目の節目を迎えた作文コンクール「PHP作文甲子園」に伴走する入社4年目社員の奮闘ぶりを追いました。
入社4年。第10回の節目を迎えるPHP作文甲子園への特別な思い
──「1年の3分の2は『作文甲子園』の業務に向き合っています」
創刊から79年にわたって人々の心に寄り添い、それぞれの人生を応援し続けてきた月刊誌『PHP』。石丸帆夏は、その編集部で日々の取材や編集に駆け回っている。彼女には誌面制作のほかにもう一つ、大きな仕事が任されている。それが全国の中学生・高校生の作文コンクール「PHP作文甲子園」だ。
配属間もない2023年7月に前任者から誌面担当を引き継ぎ、翌年の第8回からは、企画から運営までの一連の流れを一人で担うようになった。
テーマ設定、募集の仕切り、応募作の集約、そして審査会の進行から受賞者への連絡、誌面に掲載する受賞作に添えるイラストの手配まで、その業務は多岐にわたる。通常の編集業務に加え、雑務も含めると、毎年3月中旬から11月下旬まで『作文甲子園』に向き合っている。
──「間もなく創刊80年を迎える月刊誌『PHP』が、これからも発展していくうえで、PHP作文甲子園が果たす役割は大きいと思います。重要な企画だという意識と責任感は、回を追うごとに強くなりました」
そう語る石丸の表情には、大変さの中にも確かな充実感がただよう。多感な時期を生きる中高生たちから届く「言葉」に、編集部の誰よりも早く、そして最も深く向き合う日々が、今年も始まっている。
巧拙に左右されない、「その人ならでは」の表現に心動かされる
コンクールを運営する石丸だが、ほかの編集部員とともに一次審査も担っている。その年の応募総数によって変動はあるが、おおよそで一人当たり700~800もの作品に目を通す。文章を書き慣れていないのだろうな、と感じることもあるが、たとえ次の審査には進まなかったとしても、不思議と強く心に残る作品がある。
──「おお!と思わせられる一言だったり、描写だったり。テクニックの有無に関係なく、その時に見た景色や浮かんだ感情を、自分の言葉で綴るということそれ自体に、かけがえのない価値があると思っています」
コンクールである以上、作品の「巧拙」を判断することは避けられない。読み手を意識し、一言一句を極限まで推敲した文章には、確かに書き手の熱量が宿っている。技術の上手さだけではない「言葉の価値」に、石丸は気づかずにいられなかった。自分の言葉で綴る自分の思い──それは、松下幸之助が求めてやまなかった「素直な心」にも通じる。
自分の糧になる実感、全国の教育現場とつながる手応え
石丸は、最終審査会にも立ち会う。一次審査・二次審査を通過した候補作は、作文として優れているか否かだけが議論されるわけではない。
──「最終候補に残った作品は、受賞作として世に出し、月刊誌『PHP』の誌面を通じて多くの人に読まれる意義があるか?という観点からも意見が交わされます。各作品に対する審査員の見方・考え方の広がりがおもしろく、まだまだ経験の浅い自分にとっては、貴重な学びの機会です」
初めて担当した年の応募総数は2309作だった。例年と比べて特別多い数ではなかったが、日本全国のあらゆる地域から届いた"熱量"の大きさに「驚きました」。とりわけ嬉しかったのは、教育の最前線に立つ学校の先生方から寄せられた感謝の声だった。
──「文章を書くことや読むことに苦手意識を持っている生徒さんにとって、「自分の経験」を「原稿用紙2枚」だけの作文甲子園なら......とハードルが下がるようです(笑)。クラスや学校単位での応募も多いのですが、先生方からは『作文甲子園を開催してくださってありがとうございます』という言葉をいただくことがあります」
慢性的なカリキュラム・オーバーロード問題を抱えつつも、なんとか『書く』『読む』機会を創り出そうと模索した結果、PHP作文甲子園を、授業や課題として採用してくれた教師らの謝辞に、石丸は声を弾ませる。
──「私たちの取り組みが、学校教育の一助になれているのだと実感でき、本当に励みになりました」
一編の作文が、生徒の、そして学校の未来を小さく変えるかもしれない。その架け橋になっているという実感が、多忙な日々の支えになっている。
10代の「今」を切り取り、残す場として、PHP作文甲子園を未来につなぐ
10回目という大きな節目を迎えた今年、PHP作文甲子園の開会にあたって、元プロ野球日本代表監督の栗山英樹さんから、熱い応援メッセージが寄せられた。栗山さんの「華々しくなくてもいい。大事なのは、そこから何を感じ取るか」という言葉に、石丸は大きくうなずく。
──「特別な出来事なんてそうそうないし、体験を作文にする文章力も表現力もない、と思う方もいるかもしれません。それでも、今を言葉にすることに挑戦してみてほしいんです。1年後でも大人になってからでも、いつか"その時"を振り返って、特別な時間だったと気づくことがあると思うから」
月刊誌『PHP』は、あらゆる世代の人生を応援するメディアだ。中高生という一生に一度しかない輝きを切り取り、残す場所として、このPHP作文甲子園を未来へつないでいきたい。
──「褒められそうな作文ではなく、自分の中から出てきた素直な言葉で、自由に書いて応募してほしいと思います」
そう結んだ石丸は、全国各地から集まる「素直な言葉」たちを心待ちにしている。中高生たちの「今」に刺激を受けて、石丸もまた、4年目の今しかできない仕事に取り組んでいく。




















